2021年04月01日公開
サクラの開花情報が気になり始めた3月上旬、更に興味をかき立てられる情報が入って来た。洲崎沖や城ヶ島沖など東京湾口付近でスルメイカが絶好調というもの。トップが束(100杯)を超える船もあるとか。関東屈指のイカ釣りに精通した三浦半島・長井港は連日“スルメイカ祭り”開催中。祭りに乗り遅れまいと長井漆山港『春盛丸』に予約を入れた。
突如訪れた東京湾口の“スルメイカフィーバー”!!
例年ならヤリイカ好調に沸く春先の東京湾口、そこに突如入ったスルメイカ爆釣の報せ。釣果情報を見ると船上での沖干し“イカ暖簾”の写真で溢れている。熱い人気を誇るイカだけにフリークがこの情報を逃すわけもない。イカ熱の高い長井にあって、特にイカに精通した長井漆山港『春盛丸』は、早くも予約で満船の人気ぶり。
『春盛丸』人気の秘密は、居心地のいい雰囲気
早朝から多くのイカ目当ての釣り人で賑わう駐車場だが、船長が船毎の駐車位置を指示してくれるので安心。駐車場内にある受け付けで釣り座の確保と会計を完了。桟橋の前で船の到着をしばし待っていると背中に『春盛丸』と印字されたジャンパーを着た釣り人が数人。ここは腕達者な常連さんが多い事でも有名な船宿。毎週のように通っている内に知り合いになって、和気藹々の実にいい雰囲気。沼田孝章船長が舵を取る「春盛丸」が桟橋に着いていざ出船。
手返し良く数を伸ばすなら直結仕掛け!
現在釣れているのは、主に城ヶ島沖と洲崎沖の2エリア。まずは遠くにある洲崎沖に向けて帆を進める。「今シーズンのスルメはいいですよ。本来この時期に最盛期を迎えるヤリイカも勿論いますが、それ以上にスルメイカの回遊が色濃いですね」と船長。ポイントは水深200m前後。使用するオモリは150号。スルメイカ中心なので先調子の硬めの竿が推奨。仕掛けはブランコでも直結でもいいが、今シーズンは反応が濃いので手返し重視で直結を勧めたい。
電動微速でいい誘いになる
イカ釣りの上手な常連さんの動きを近くで見ていると実に勉強になる。釣り場に到着したら、船の合図で投入。見事な手捌きで仕掛けが投入された。着底を確認すると電動リールを微速でON。時折メリハリの利いた誘いを入れながら海底から幅広く探る。船長の指示ダナの上限まで上げてアタリがなければ1回仕掛けをイカの視界から消して、また海底まで落として同じ動作を繰り返す。一連の流れに隙がない。
朝一から船上は大賑わいのロケットスタート
直近の好調そのままに、この日も朝の第1投からスルメイカが応えてくれた。
船中で同時ヒット。左舷ミヨシ(船首)で竿を出す矢野さんはいきなりのロケットスタート。第1投からいきなり良型スルメ4点掛けでスタート。右舷ミヨシの鎌田さん、そして隣の大塚さんも手際よくイカを取り込んでいく。常連さんは取り込み方も無駄のない動きで見ていて美しい。鎌田さんは自作のイカ取り込みBOXに次々にイカを流れ作業で入れていき、再投入の間にイカをアッという間に捌いて船上干ししていく。もはや趣味の領域を超えている。
全員に数が釣れるのが今の魅力
常連さんだから釣れるのか?いや、決してそんなことはない。キチンと着底を確認でき、底からイカの居る層を誘って来ればキチンとイカが応えてくれる。魚のようにグイグイ引くアタリが出ないのでイカが乗ったのか分かりにくいという声もあるが(かく言う私がそう)、スルメイカはイカの中でもかなり獰猛な性格なので明確なアタリが出る。体を目一杯膨らませて吐き出す水を推進力に変えているので、引きも強い。アッという間に満船16人全員の桶がイカで埋まっていく。そしてロープにはどんどん“暖簾”が広がっていく。
後半の城ヶ島沖はヤリイカ率アップ
お土産は既に十分確保。洲崎沖は潮の流れも速く、前日のシケの影響でウネリが残って、オマツリも頻発するので、後半は釣りやすい城ヶ島沖に移動した。こちらはベタナギで水深は同じく200m前後。ここでも第1投からイカが応える。ここで勢いを増したのがヤリイカ。前半の洲崎沖ではたまに交じる程度だったが、後半は3割近くまで勢力拡大。手慣れた人は、まず底近辺に集中しているヤリイカを掛けて、微速で20mほど上げている間に少し浮いているスルメイカも掛けてスルメとヤリの多点掛けを成功させていた。
船上は長~い“イカ暖簾”
16人の満船にもかかわらず、トップの鎌田さんは42杯のスルメイカをゲット。因果関係は不明だが、トモ(船尾)側では多点掛けの頻度が高く、船尾近辺の高橋さん、錦織さんは5点掛けを何回か見せてくれた。一体船全体で何杯のイカが上がったのだろうか?13時半の沖上り時には船上は船首から船尾まで長い“イカ暖簾”が大漁旗かの如くなびいていた。
【動画】束釣りもいける!ヤリイカ・スルメイカ釣り
船長と釣り人でいい雰囲気の「春盛丸」船上
スソ(最低)でも容易にツ抜け(10杯)を達成したものの、腕利きの常連さんたちは持ち帰れないイカを少なめの釣り人に配る大盤振る舞い。竿を出す事が出来なかった私もそのご相伴に預かりお土産十分。『春盛丸』がイカフリークに人気の理由を垣間見た。今、東京湾口に押し寄せているスルメイカの大群。暫くは消えないほどの大きさだそう。春の光を浴びた船上干しのイカの味をこの機会に是非堪能して頂きたい。
今回利用した釣り船
出船データ
料金=9,500円(氷付き) ※女性1,000円引き
集合=6時00分 出船=6時30分 (季節により変更有り。詳細はお問い合わせください)
沖上がり=13時30分頃
レンタル:貸し竿 2,000円
※電源・投入器完備