2021年05月17日公開
近年、美味しい魚としてすっかりポピュラーとなったアカムツ(ノドグロ)。1kg1万円を超え、「幻の…」などと取り沙汰される高級魚だが、規定数(1人の上限)10匹の釣果を連日達成しているとの噂を聴き付け、茨城県・波崎港『仁徳丸』へと出掛けた。
午前3時、“ノドグロ”ハンターが続々と
「仁徳丸」が停泊する波崎漁港は、利根川を挟んで千葉県銚子市と茨城県神栖市に掛かる新銚子大橋の袂。カーナビに「青木屋旅館(茨城県神栖市波崎9495)」を入力しておくと、右手に『仁徳丸』の電光掲示板が見えてくるので分かり易い。前日の電話で女将から「皆さん早めに来る」とは聴いていたが、集合の1時間前から続々と釣り人たちの車が集結。到着すると船縁に竿を挿して釣り座を確保するのが『仁徳丸』のスタイルだ。3時半少し前に女将の軽トラックが到着、受け付けがスタートする。乗船名簿を記入し、船代を支払って餌の冷凍ホタルイカを受け取る。仕掛けのセットは釣り場に着いてからでも大丈夫なので、竿掛けを取り付けたらタックルやバッカンが飛ばされないよう確認して出船準備は完了。午前4時10分、「仁徳丸」は月明かりの海へと出船した。
竿入れからアタリが…!
やや波気のある海を走ること90分弱。犬吠沖、水深150mの釣り場に到着。船長が魚群探知機で魚影を捜している間に仕掛けをセットし、投入の合図を待つ。警笛2回と「ハイ、じゃあ準備出来たらやって行きます」のアナウンスを合図に仕掛けを投入。間もなくアタリはあるものの、サバやユメカサゴに邪魔されたり、有望な魚信があるもサメに変わったりと一筋縄では行かない中、右舷ミヨシ(船首)の鈴木さん(山武郡)に待望のアタリ。巻き上げ途中、水深75m辺りと30m付近でガツガツと竿先を叩きながら上がって来たのは体長30cm弱の“ノドグロ”ことアカムツ。喜び勇んで写真を撮る私に「もっと大きいのが来ますよ」と言う鈴木さん。その言葉が現実となったのは、それから1時間後のことだった。
時合突入、群れ濃く一荷(2点掛け)も!
その後もポツリポツリとアタリがあり、単発的に“本命”のアカムツが取り込まれた。そして時計が7時を指そうとする頃、俄かに船中あちらこちらの釣り座でアタリが出る時合に突入。投入の度にアタリがあり、2点掛けで一気に追い上げたのは柳澤さん(土浦市)。「アカムツってこんなに釣れる魚だったかな」と目を疑うと共に、このペースなら連日のツ抜け(釣果10匹)も頷ける。サバに邪魔されたり、オマツリに発展したりはあるものの40cmに迫る良型も上がり、この海域の魚影の濃さが推し量られる。タイミングを逃さず手が合う釣り人からアカムツを取り込み、魚桶はみるみる充たされて行った。
船長に訊くアカムツのコツ
水深150m前後の比較的浅場を攻略したこの日。アカムツ釣りのコツを三橋正幸船長に訊いた。「今日のポイントはそうなんですけど、ユメカサゴが多いんですよ。だからユメカサゴを避けるために捨て糸を長めにとって貰ってます。上のハリで食わせるとサイズの良いのが比較的多いんで、なるべく上を探って貰うのが良い感じですね」とのこと。また、この日多かったのが折角アカムツを掛けてもサバが追い食いして、口吻の脆いアカムツを振り落としてしまうケース。船長曰く、サバの居ない海域にはアカムツも居ないとのこと。対策としては「1本バリ仕掛けにする」。アカムツが食っても他のハリ(餌)が無ければサバに邪魔されることもなく、オマツリで“本命”を取りこぼすこともなくなると言う、これはコロンブスの卵。万が一サバに先を越されても、アカムツが付いてないのでハイスピードで回収出来てオマツリの予防にもなる。さらにサバ避けの基本「夜光や蛍光のパーツを外す」ことも覚えて置きたい。
【動画】言わずと知れた高級魚!アカムツ釣り
最盛期はこれから、魚影濃く今季も期待大!
食いの立つプライムタイムには恵まれたが、やがて風が強まり早上がりとなったこの日。それでも竿頭の鈴木さんはアカムツ6匹と充分な釣果。取材後日には再び竿頭10匹の規定数達成(しかも複数人)を連日キープしていて、50cmクラスも上がっている。今季も数型共に楽しみな釣況が伺われる波崎港発のアカムツ釣り。新型コロナの感染予防対策を万全にして、高級魚釣りのワクワクと、極上の美味をお楽しみ頂きたい。
今回利用した釣り船
出船データ
集合時間:午前4時までに(変動アリ、予約時に確認を)
出船時間:準備出来次第
乗船料金:1万3,500円(ホタルイカ1パック&氷付き)
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他