2021年06月15日公開
一昨年はヒラメ、昨年はタチウオの“好釣”に沸いた茨城県・鹿島港。今季はワラサ・イナダの“青物”ジギングが連日爆釣との噂をキャッチ。ジギングロッドとロングジグ5本を握りしめ、鹿島港『幸栄丸』へと出掛けた。
午前4時開店、5時出船
『幸栄丸』が門を構える鹿嶋旧港は、東関東自動車道・潮来ICからおよそ25分。カーナビは「茨城県鹿嶋市大字新浜13」と入力すれば港入口付近に案内される。都心から約1時間40分。道幅が広く走り易いので、走行距離より近く感じられる。港に到着したら座席表から希望の釣り座のマグネットを外して釣り座を確保。待合所で乗船名簿を記入、カウンターで乗船料を支払い、乗船札を受け取る。乗船場所の桟橋手前で氷箱からクーラーに氷を詰め、釣り座に道具を運ぶ。こうした一連の準備がし易いのは『幸栄丸』の特徴で、集合時間の午前4時半には既にほとんどの釣り人が乗船していた。出船時間が近づくとスタッフが釣り座を廻って乗船札を回収する。出船前に荒原船長からアシストフックのバーブ(カエシ)を潰すよう要請があり、釣りバリが刺さる等の事故が起きた際にはすぐに帰港する旨がアナウンスされた。こうして出船準備は滞りなく整い「第三号幸栄丸」は定刻より少し早めに出船した。
1投目からクライマックスだ!
穏やかな海を走ること1時間程。大洗沖、水深40m前後の釣り場に到着。魚群探知機で魚影を捜していた船長が「ハイ、どーぞ!」の合図と共にバックギヤで黒煙を上げ急停止。一斉の投入から着底、シャクリ始めるやいなや左舷から「来たぁ!」の声。ファーストヒットは大学2年生の清水さん。落ち着いたファイト中にもあちらこちらの釣り座で竿が曲がり、船中のボルテージは一気に上昇。船中一番手の魚を抜き上げたのは右舷ミヨシ(船首)の秦さん。普段はアカムツやイサキなど様々な沖釣りを楽しんでいると言う秦さん、“青物”ルアーは2回目とのこと。この後はもう誰が2番手か判らないほどのヒットに継ぐヒットで、相当数あるタモが追いつかない程。しかも魚は押し並べてコンディションの良い丸々としたワラサ。ファイトもモーレツで、連続ヒットとなると相当体力を持って行かれる。「血抜きなんて後々!」、「疲れるためにジギングやってんでしょ!?」と上乗りさんに励まされながら、饗宴のような爆釣劇が開幕した。
ジギングはシャクらなくても釣れる!?
怒濤の連続ヒットが落ち着いて、船上に静かな時間が流れ始めた。そこで私も竿を出してワンピッチ・ワンジャークで様子をみると、魚からの反応はあり、ハリ掛かりはするものの、ファイト中にバレる-というミスが2回続いた。見かねた上乗りさんが「中層までただ巻いて止めてみて」と提言してくれた。このメソッド、『幸栄丸』の過去記事(2011年12月1日号)にも登場するのだが、改めてご紹介しよう。ジグを投入して着底したら、兎に角可能な限り全速力でリールを10回前後巻いて、ビタッと止める。この時、惰性でジグは跳ね上がり、ラインテンションが抜けるので、竿先を送り込んで更にラインスラック(糸フケ)を出し、魚が口を使う“間”を作る。ここで何も起こらなければ、ラインにジグの重みが帰ってくるので、再び10回前後、全速でリトリーブして止める-を繰り返す。すると、巻きを止めてジグが浮遊している(と思われる)最中、竿先を“バババ!”と叩く明確なアタリが出るので、慌てず騒がず魚の重みを感じながらグイっと竿先を上げて合わせを入れると、がっちりフッキングする。この釣法、比較的簡単な上に、ルアーにスレて(馴れて)しまった魚にも非常に有効なので是非お試しを。竿先を細かくシェイクしながら巻いているように見えるアングラーがこの釣りをしているので(そう見えるのは全力で巻いているため)、船上や動画でもとくと注目頂きたい。
船長に訊く、“青物”ジギングのコツ
“青物”ジギングのコツを荒原康宏船長に訊いた。「何釣りやるにしても、フックは大きくないとバレます。カツオやるにしても、ジグが小さいからってフックまで小さくすると獲れないです。で、バーブレス。カエシがあると、刺さる瞬間そのぶん(ハリ穴が)広がるわけじゃないですか。それで暴れると抜け易い。バーブレスはハリ穴が広がらないし、手返しも良い。釣れる時に数釣るってのが大事なところなので」とのこと。安全と合理的な釣りのためにも、アシストフックのカエシは潰して使用するのが絶対だ。「ショートピッチに慣れない内は、早巻きストップの方が掛かりが良いです。シャクってて掛かるのは『釣れちゃった』。アタリを出してから、合わせて掛けるのがより楽しいと思います」と船長。これは本当にその通りで、この釣り方に関しては普段餌釣りをしているアングラーの合わせのタイミングを掴み易いように思われる。掛け損ねてもこの釣法に反応した魚は執拗に追い掛けてくるので、あれこれ工夫しながら口を使わせる釣りをお楽しみ頂きたい。またこの日はリールが壊れるアングラーを散見した。重くはなっても大型のリールの方が、釣る上では体力的に楽なことも覚えて置きたい。
【動画】連続バイト!青物ジギングゲーム
連日好釣、ジギングを始めるなら今!
食いの落ち着く休憩タイムはあったものの、沖上がり間際にはイナダや“サンパク”クラスの連続ヒットやヒラマサのバイトもあったこの日、竿頭はファーストヒットを手にした清水さんがワラサ8匹を含む13匹。“ツ抜け”た(釣果10匹以上)アングラーが8人、船中では120匹超えの大爆釣。みなさんクーラー満タン、心地よい疲れで笑顔の沖上がりとなった。魚影が濃く、入門にも最適な鹿島発のルアー乗合船。秋冬の魚と言う印象が強いブリ属の魚たちだが、食べている餌が良いのか脂の乗ったグッドコンディションが多く、釣り味に加えて食味も満点。タチウオの群れが鹿島沖に入ってきたとの情報も入り、今後が益々楽しみだ。とかく運動不足になりがちなこのご時世、感染予防対策と準備運動を万全に、体力の限界まで魚とのファイトを楽しむ、完全燃焼の休日をご提案したい。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:1万1,000円(氷付き)
集合4:30 出船5:00(揃い次第)
定休日:第3月曜日
貸し道具あり(予約時に確認を)
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他