2021年07月15日公開
「スローライフ」、「スローフード」、「ゴースロー」…とかく「ゆっくり」、「のんびり」が豊かさや生活向上のキーワードとして採り上げられる昨今。あくせくせずに、のんびり楽しめる釣り物は無いかと捜していたところ、午後船でゆったり楽しめる船宿があると聴き付け、外房は大原港『秀丸』を訪ねた。
のんびり、ゆったり、午後船に乗船
『秀丸』の乗船場所は大原港「夷隅東部漁業協同組合」のすぐ近く。突堤の先端付近に車を停めたのが午前10時30分過ぎ。通常は午前4時前後の集合が多い大原港にあって、この時間帯に港に居る事自体、不思議な感覚。平時は港から徒歩3分程の所にある船宿で受け付けをしているそうだが、このご時世で港に集合。まずは体温を測定した後、仮設のテーブルで乗船名簿を記入、乗船料を支払う。氷と餌を受け取り、船に積み込めば、釣り座に魚桶や当て木は既にセットされているので出船準備は完了。船着場と駐車スペースが近いので、道具の積み込みもラクラク。餌の冷凍エビを魚桶に入れて解凍するのをお忘れ無く。のんびり支度をしていても集合時間の11時には予約者全員乗船済みの手際の良さ。かくして出船準備は滞りなく整い、大船長始め船宿スタッフ一同に見送られて出船した。
水深13m、着底&アタリが明確!
“梅雨ナギ”の海を走ること30分程で大原沖、水深13mの釣り場に到着。パラシュートアンカーを投入してスタート。船中一番手で竿を曲げたのはトモ(船尾)の藤田さん。大いに竿を曲げて浮かび上がったのは良型のショウサイフグ。この後も海底にテンヤを置いておくとショウサイフグやカサゴが順調に釣れ続いた。一方、海底から30cm程底を切ったタナで釣っていた船首の浮ヶ谷さんにアタリ。小気味良い引きを見せ、取り込まれたのは1kg弱のハナダイ。この後も同サイズのマダイを取り込み、魚桶は着実に充たされて行った。
多彩な“ゲストフィッシュ”も魅力!
“テンヤマダイ”とは言うものの、マダイ以外に釣れて来る魚の多彩さもこの釣りの魅力。見た目はマダイと似ているハナダイ(チダイ)。見分け方は、オデコが出っ張り、エラ蓋上部に赤い部分があるのがハナダイ。尾ビレの縁が黒いのがマダイ。特にこの時期のハナダイは味に定評があるので、塩焼きや炙り刺しなど、皮目を残した調理がお薦め。底付近を探っていると、豪快なアタリで良く釣れるカサゴも、美味しい“ゲストフィッシュ”。唐揚げや煮魚が定番だが、良型は是非刺し身で。ガンゾウビラメはムニエルにすると美味。強めに下味を付け、揚げ焼きにするのが美味しく食べるコツ。またこの日に良く釣れたショウサイフグやヒガンフグは嬉しいゲスト。『秀丸』の山口船長はフグ処理師免許を持っているので、下処理をして貰えば安心して食べることが出来る。処理した棒身を入れるフリーザーバッグを忘れずに持参しよう。ちなみに、漁業関係者でも混同するケースが多いが、ヒガンフグの別称は“アカメ”で“アカメフグ”と呼ばれるフグとは別種なのでご注意頂きたい。
船長に訊く、テンヤマダイのコツ
一つテンヤ・マダイのコツを山口健船長に訊いた。「アタリのない人っていうのは、誘いがないですね。合わせもちょこっと合わせるんじゃなくて、ギュッと合わせないと。合わせが甘いとバレますね。コツっと合わせる人が多いんですけど、少しオーバーに合わせないといけない」との事。テンヤが着底したら竿先を上げて海底から浮かせた後、再び着底させるなどのアクションを与えることで魚に餌の在処をアピールすること。合わせは合わせ代を大きく取って、長いストロークでしっかりとした合わせをすることが肝心。また、餌付けについて。まず先に、孫バリを頭と胴体の間に、脚の付け根から頭に抜くようなイメージで打ち、親バリはいきなり挿さず、餌に親バリを当てて見て、ハリ先を出す位置の見当を付けてから丁寧にハリを通し、エビが真っ直ぐになるように付ける。この一手間が釣果に顕れるので、丁寧な餌付けを心掛けたい。
【動画】色々釣れる!ひとつテンヤゲーム
浅場でラクラク、入門にも最適!
大原沖から太東沖の水深10~17mを攻略したこの日。竿頭はマダイ7匹、ショウサイフグ4匹、カサゴ2匹を釣った浮ヶ谷さん。連日の大雨で過度の濁りが入り、釣果の谷間に当たってしまった取材日だが、もう少し濁りが取れれば大物も期待できる大原沖の一つテンヤ・マダイ。9月までは20m以浅の浅場で楽しめ、テンヤの着底やアタリも分かり易く、入門者にもベストシーズン。感染予防対策を万全に、雨具と多めの飲み物を持ってお出掛け頂きたい。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他