2021年11月15日公開
「アカハタは、前は釣れなかった魚です」と言う、神奈川県真鶴半島・岩港『緑龍丸』の向笠船長。根魚の高級魚を狙う新しい釣りである。「釣り方は餌釣り?それともルアー?」興味津々に出掛けた。
アカハタはフィッシュイーター
向笠仁志船長は、「アカハタは、温暖化の影響で釣れるようになったと思います。鮮やかな赤色の魚体で可愛らしいですが、放流したカサゴの稚魚などを丸呑みしてしまう獰猛なフィッシュイーターです。釣って面白く食べて美味しい、真鶴の新しいターゲットです」と言う。また、アカハタは南の魚で関東では主に“泳がせ釣り”で釣る印象だ。しかし、『緑龍丸』では活き餌ではなく、身餌やルアーで狙う。釣り方は、「こういうタックルでこう釣ってください」と限定していない。言わば“自由な釣り”だ。岩港への道順は、記事末の「緑龍丸HP」内の「アクセス」参照。集合は駐車場に午前5時15分。
餌釣りかルアーか?それとも両方やってみる?
オモリは15~25号。LT(ライトタックル)感覚の手軽な釣りになる。『緑龍丸』では他の釣り人の迷惑にならない限り、道具や釣り方をかなり自由にさせてくれる。アプローチの仕方は大きく2つ。1つは根魚釣りとして胴突き仕掛けでアプローチ。軟らかめの竿に胴突き2本バリ仕掛け、サバの切り身などを餌に釣る。もう1つはルアーフィッシングとしてのアプローチ。ジグヘッドなどにクロー系やホッグ系のソフトルアーを付けて底をトレース。他にもヒラメやマハタの泳がせ釣りの仕掛けで冷凍のカタクチイワシを餌に狙ったり、一つテンヤ、ブラクリ、タイラバ、マイクロジグ等も良さそうだ。自分なりに工夫して釣れるのは、遊び心旺盛な釣り人にはとても魅力的だ。
オモリ15号以上、底トントンでOK!
5時45分、出船となった。外海に出ると東の空がオレンジ色に染まってきれいだ。海上は、北東の風がそよそよしていて多少波があったが、まずまずのナギだ。航程30分程で釣り場に到着。船長の「やってみましょう」のアナウンスでスタート。船長に釣り方を聞くと、「オモリは15号以上です。底をトントンしながら釣ってもらえば大丈夫ですが、あまり軽いジグなどはNGです。道糸が船下に入ってスクリューに巻かれてしまいます」。ベイトタックルの他、スピニングタックルも持ち込んで投げて広く探る人が多いが、言うまでもなく根掛かりには要注意だ。
ベイトの好反応とともにオオモンハタが食った!
太陽が高くなるにつれて段々と魚の活性が高まっているように思われた。船長に魚探の画面を見せてもらうと、底近くにベイト(小魚)の群れと思われる濃い反応がくっきり出ていた。すると、右舷胴の間(中央)の神奈川県寒川町の松田さんの竿が激しく曲がった。引きは強く、とても重そう。松田さんの釣り仲間の小宮澤さんが「オオモンじゃない!?」と叫んだ。海面に浮き上がった大きな魚の正体は“裏本命”のオオモンハタ。小宮澤さんのタモ入れで無事ランディング。47cmの大物だった。この場所ではアカハタもゲストのカサゴもそれまでより一回り大きくなった。
後半もアカハタ活発!嬉しいゲストのオニカサゴも!
後半になっても魚の活性は衰えなかった。それどころか良型のオニカサゴやカサゴも交じり楽しい五目釣りの様相だ。私も竿を出してみた。冷凍エビやソフトワームを餌にテンヤ釣りをしてみたり、サバの切り身で胴突き釣りも試した。テンヤ釣りだとアタリがわかりやすいが掛け損じが多かった。しかし、落とし直せばもう1度チャンスがあった。胴突き釣りでは、竿先を少し曲げる程度の小さなアタリを見逃すと根に潜られてしまうことが多かった。どちらの釣り方でも試行錯誤の末にちゃんとアカハタと対面できた。工夫すれば必ず結果に結び付く、そういうところも釣りの面白さだと再認識した。
【動画】緑龍丸・神奈川県真鶴岩港・アカハタ五目
アカハタ6人24匹と好調!今後は深場で良型マハタも!
11時過ぎに沖上がり。結果、アカハタは20~35cmが6人24匹(全員が型見た。リリース含まず)。竿頭は左舷胴の間、厚木市の高田さんの7匹。オオモンハタは前述の松田さんと小宮澤さんでそれぞれ47cm(1.3kg)と35cm。この他にもオニカサゴ、カサゴなどが交じった。
向笠仁志船長は、「今日は潮が流れずどうなるかと思いましたが、終わってみればまずまずの釣果になったとホッとしています。条件がもっと良ければ、数、型とも今日以上に望めますし、アタリも頻繁なので初心者や入門者も飽きずに楽しみながらステップアップできるでしょう。これから冬にかけてもっと深場を狙うようになると、型の良いマハタなども釣れるようになり楽しみは更に増えます」と言う。真鶴半島、岩港の新ターゲット「アカハタ五目」、是非チャレンジして頂きたい。
この記事を書いたライター
0mの海面から水深1,000mの超深海までのレンジで、数cmのハゼやキスから、イカ・タコの軟体動物、数十kgのキハダやベニアコウまでの様々な魚を狙うフィッシング・ライター。