2022年01月26日公開
暦の上では「大寒」を迎え冬も本番。ところが釣り人にとっては楽しみもある。“寒ビラメ”は寒さで脂の乗る季節というだけでなく、イワシを大量に捕食して栄養を蓄えたヒラメは、身が厚くなる上に引き締まり、その旨みが向上する。今シーズンの模様を伺いに、千葉県・大原港『第三松栄丸』を訪ねた。
船着場は「いさばや」が目印
『第三松栄丸』の船着場は、夷隅東部漁業協同組合直営の食堂『いさばや』の裏手。釣り人に開放された無料駐車場も道を挟むカタチで近いので準備もラクラクだ。到着したら船着場のコンテナに掲示された「釣り座ボード」から好みの番号を取る。集合時間の少し前、船長と若船長が到着し、船に灯火が点るので、乗船や荷物の積み込みはその後に。船着場まで荷物を運べば、釣り座には若船長が運んでくれるのもありがたい。やがて女将が乗船名簿を持って釣り座を回るので、これに記入して乗船料を支払う。かくして出船準備は滞りなく整い、女将の「行ってらっしゃい!」の声に送られて「第三松栄丸」は出船した。
竿入れは午前6時
暁暗の海を走ること30分程で太東沖の釣り場に到着。若船長が活きイワシを各釣り座に配り、6時を待って船長の「ハイ、良いですよ~。17m!」の合図でスタート。夜明け前の海上は穏やかだが寒さ厳しく、果敢に底ダチを取り直しながらアタリを出そうと海底を探る釣り人達の意気込みは熱い。そんな中、最初に竿を曲げたのは胴の間(中央)で竿を出す上乗り役の若船長。危なげないファイトで船長の差し出すタモに収まったのは“本命”のヒラメ。それから間もなく、大きく竿を曲げる良型のヒットがあったが、惜しくもハリス切れ。取材5日前には5kgのヒラメが上がったポイントだっただけに、逃がした魚の大きさを痛感した。魚桶の海水は意外と温かいものの、オモリや釣れた魚は冷たく、海底の海水温は冷え込んでいる模様。起伏の激しい根周りをあちこち廻りながら、流し毎に1匹、また1匹と釣果を重ねる辛抱の釣りが続いた。
時合い到来、アタリ集中!
陽が昇り、船上はぽかぽかと暖まって来たが、釣況は依然として膠着状態。船長は水深10mを切る灘へと舵を切った。“笹濁り”の浅場を流すと、ミヨシ(船首)からアタリが竿先を叩き、あちらこちらの釣り座で竿の曲がる時合いが訪れた。複数の釣り人がタイミングを逃さずヒラメを釣り上げる中、沖上がり間際に上がったヒラメは1.56kg。最後まで諦めず、丁寧に釣り続けることの大切さを垣間見る一日となった。
船長に訊く、釣り方のコツ
中井英明船長に釣り方のコツを訊いた。「基本的には底を引き摺らないこと。あとはやっぱり餌付けが大事なんで、餌をしっかりハリに付けること。見ているとユルユルな所に刺してる人も居るから、折角喰っても餌がハリから取れちゃうんですよね。だから餌付けは一番大事!」とのこと。また、この日のように根周りを攻略する際は、オモリを底に置かず、小マメに底ダチを取りながら海底を上から探るのが良いとのこと。海底の凹凸を想像するとイメージしやすいので覚えて置きたい。椋介若船長に訊くと「糸を出し過ぎないことですね。根掛かりしたりオマツリしたりします」とのことで、底を取っては少し浮かせての竿さばきを見せてくれた。興味のある方は、乗船の際に質問することをお薦めしたい。
シーズン本番、大物は居る!
水深8mから16mを攻略したこの日。釣果としては谷間の取材となってしまった。「イワシが来たり来なかったりでねぇ…」と言う船長の言葉通り、その後は回復傾向で徐々にサイズやアタリの数も増え、ボウズ(0匹)なしの全員釣果が続いている。また特筆なのは、昔ながらのノーマルタックルの釣り人が多く、流行りのLT(ライトタックル)のアングラーとも何の問題もなく同船している。古き良き置き竿スタイルでのんびりヒラメ釣りを楽しみたいベテランにも『第三松栄丸』はお薦めだ。食味も良く、良型の期待出来るこの時期こそ、防寒対策と感染予防対策も万全に、本場の“寒ビラメ”釣りをお楽しみ頂きたい。
今回利用した釣り船
〒298-0004 千葉県いすみ市大原10105-2
TEL:0470-63-0085(6:00-22:00)
定休日:第1・3月曜日 釣果・施設情報 「第三松栄丸」ホームページ
出船データ
集合時間:午前5時
出船時間:準備出来次第
乗船料金:12,000円(活き餌・氷・昼食付き)
貸し竿:あり無料(予約時に確認/仕掛け別400円)
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他