2022年03月25日公開
初夏のような陽気もあれば、雪もちらつくこの春、話題の釣り物と言えば洲崎沖のスルメイカ。
神奈川県でイカ釣りと言えば横須賀市・長井港。連日“好釣”の『春盛丸』に乗るべく、長井漆山港を訪ねた。
午前5時30分、受け付け開始
「春盛丸」が出船する長井漆山港は、三浦縦貫道路・林出口から10分弱。カーナビには「神奈川県横須賀市長井6丁目3−13」と入力すると、付近に『春盛丸』の看板があり、港への入口が分かり易い。
船着場となる突堤の根本付近に『春盛丸』のテーブルがあるので、そこに置かれた船形に名前を記入して釣り座を確保。午前5時頃になると船宿スタッフが来て船宿ごとの駐車場所を案内してくれる。5時半頃に受け付けが始まり、乗船カードを記入、乗船料を支払う。この際に渡されるカードの半券は釣り座で回収となるので、分かり易い場所に仕舞っておこう。そして6時ちょっと前、突堤に「春盛丸」が横付けされ、荷物を持って乗り込む。この日の集合時間は6時と聴いていたが、それは乗船する時間のことなので、初めての際は早めに現地へ到着して置くと何かとスムーズだろう(なお4月からは集合5時30分、出船6時となるので注意)。かくして出船準備は滞りなく整い、6時6分、「春盛丸」は春の海へと出船した。
洲崎沖の船団と合流
穏やかな海を走ること45分程で洲崎沖に到着。釣り場には船団が築かれ、釣り人たちの熱気がひしひしと伝わって来た。潮の流れが速いので投入遅れのないよう船長からアナウンスがあり「はい、どーぞ!」の合図でスタート。最初にイカを乗せたのは右舷トモ(船尾)の加瀬さん。脚1本の掛かりで取り込まれたのはこの日のアベレージサイズのスルメイカ。「1杯だけ」と苦笑いだったが、返す刀で2投目は3点掛けと好スタートを切った。多点掛けでバリバリ乗るような派手さは無い物の、船中誰かのリールが常に巻かれているご機嫌な釣れ具合。大きなオスのヤリイカがあちらこちらの釣り座で上がるタイミングもあり、船上干しの暖簾もみるみる伸びて行った。
船長に訊く、春イカ釣りのアドバイス
沼田孝章船長にイカ釣りのアドバイスを請うた。「スランプの人は煽り過ぎちゃってて“アタリ”が取れてないんで、そういう人は電動リールで巻き上げた方が良いと思う。巻き上げれば必ず道糸が張ってアタリが取れるんで。ある程度速めに巻けば、アタリは出て来ます」とのこと。この釣法が取材日も非常に有効だったので詳しくは後述する。この件のみならず、操船しながら船長がくれるアドバイスは一つひとつが分かり易く的確で、仕掛けのトラブルやオマツリ解きに到るまで、蓄積されたノウハウと事細かな視点に感心しきり。常連さん達も皆さん気さくで、見ていて勉強になる方々が多いので、入門者にもお薦めしたい船宿だ。「これから始める人には、この時期は難しいですよ。(釣れる水深が)深いんでね。もうちょっと浅くなってからが良いんじゃないかと思います」と船長。5、6月が始めやすいとのことなので、ビギナーの皆さんは初夏に照準を定めて準備を始めることをお薦めしたい。
必見!「電動巻き上げシャクらず全集中」釣法
船長のアドバイスにもあった「電動巻き上げの釣り」。取材日にも有効なテクニックだったので詳しくレポートしよう。
通常通り仕掛けを投入して、オモリが着底したら、竿を海面と水平に構えて電動リールの巻き上げを開始する。この巻き上げスピードが大切で、この日はイカが掛かった時に回収する際の速度くらいが有効だった。その日に釣れる巻き上げスピードをいち早く見つけるのが釣果を伸ばすコツ。船長がアナウンスする魚探反応の上限にオモリが到達したら、クラッチを切って底からこれを繰り返す、というもの。
シャクリに体力や意識を奪われず、イカの微かな触りや“小イカ”の乗りも感知出来る上に、何より疲れないので、この釣法で釣果の伸びる人は意外と居るように思われる。特にビギナーには“触り”、“乗り”の感覚が掴めるのでお試し頂きたい。
【動画】春盛丸・神奈川県長井漆山港・ヤリイカ&スルメイカ
春爛漫、2022年はイカの当たり年!
洲崎沖の水深130mから200mを攻略したこの日。竿頭は51杯を釣った常連の佐藤さん。今期の模様は「安定してる。移動してるイカなんだろうけど、後からあとから入ってくる」と船長も太鼓判で今後も期待大だ。腕に覚えのあるベテランは勿論、一皮剥けたい釣り師にも大変お勧めな『春盛丸』。釣って楽しく、食べて美味しいスルメイカと良型のヤリイカで、春爛漫の東京湾をお楽しみ頂きたい。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他