2022年03月30日公開
東京湾のシロギスが浅瀬に入って来た感じ。ここ数年、高水温の影響か深場の「落ちギス」釣りが無くなってしまったのは、「シロギス釣りファン」としては残念。
「型より数重視!」で語られる釣り物だが、釣り味は四季によって変わり攻略のレパートリーは多い。春のシロギス釣りは、日替わりで海況が変わり経験値が物を言う。横浜・本牧港『長崎屋』に出掛けた。
アクセスは幾つかあり、ルートによって変わる
●ベイブリッジなどを通って本牧ふ頭で降りる場合(首都高速湾岸線)=本牧ふ頭ICを降りて(出口にすぐ信号)直進、磯子・八景島方面へ(2個目の信号も直進)、次の信号(3個目・漁業組合入口)を右折してすぐに左折する(高速を降りてから約5分)。
●第3京浜などを利用して新山下で降りる場合(第3京浜からの場合、本牧ふ頭出口では降りられないので新山下で降りる)=新山下を降りて3分程で鷗橋信号を右折、病院を左に見ながら直進、次の信号(みなと赤十字病院入口)を左へ。磯子・根岸方面へしばらく直進、高速道路(高速湾岸線)の下に入り、1つ目の信号(漁業組合入口)を右折してすぐに左折(高速を降りてから約10分)。
船宿で受付をして港への向かう時に注意が必要で、昔の港入り口からは現在工事中で入れないので手前の入り口から港に入る。旧入り口の護岸迄行ってしまうとUターン時に大型車が多いエリアなので注意が必要だ。
タックル
タックルは、1.8mクラスのシロギス竿とスピニングタックルの組み合わせ。調子は好みだが、東京湾では7対3が基準で、夏の浅場では6対4調子が好まれる場合もある。
スピニングは小型を専用竿と組み合わせ、操作性重視。道糸はPE0.8号前後。オモリは15号。キャストして探り、細かい操作も行うので選ぶ場合は、釣り具店で竿のグリップ廻りとリールの大きさを組み合わせて操作し易い自分に合った物を選ぶと良いだろう。
仕掛けは、片テンビンなら全長0.8~1mの2本バリ。胴突きならハリス30~40cmの物。ハリスはフロロカーボン0.8~1号。ハリはキスバリ7、8号。餌は青イソメを3、4cmというのが基本。
春ならではの海況
午前7時半に集合、準備をしていると自分と同じく「和竿」の釣り人が2人。自分好みの調子が作れる「拘り」も釣りの楽しみの一つ。
8人が乗船して8時に出船。長崎功船長に話を伺うと「小型のシロギスが交じる場合に中々掛けられないんですよね。そこが難しいです」との事。喰いが乱高下、状況によって厳しい時もあるようだ。航程20分程で“中ノ瀬”の水深25m付近に到着。乗船者全員が「長崎屋オリジナル」の胴突き仕掛けだったので、私は片テンビン仕掛けをセット。幸い和竿の人が2人いたので合間を見て、仕掛けでの違いを比較をしてみる事にした。
船長の合図でスタート。この日は、風が強くて寒い一日だった。問題は海水温。10.7度との事。数日前よりも2度以上も下がり活性は下がっていると考えられるが果たして…。
その日のパターンを素早く掴む
皆さんキャストして誘いを入れているが潮が速い。回収時に仕掛けの上がる方向を見ていると、途中から道糸のアングルが変わって上がる。これは二枚潮の影響だろう。「アタリは有るんですけれど…」と若手アングラー。ベテラン達も「潮が良くないですね」と、喰わせの間が取り辛い様子。あちらこちらでイトヒキハゼが上がる。それに交じり中型のシロギスがポツリポツリと上がる展開。強い北風、大潮という状況を踏まえて考えると、表面の海水温が下がり、底の潮温は少し高い為に二枚潮が起きている可能性が高いのかも…。
こうなると思ったよりも誘いが効かず、仕掛けが動かない為にイトヒキハゼが多くなり、タイミングが良いとシロギスが反応して掛かるという感じに見えた。それでもシロギスは20~23、24cm級が多く、いわゆるピンギス(小型)は全く掛かって来ない。型が良いので竿を叩く様な小気味良いシロギスの引き。この引き味に嵌る人も多い。
船長はイトヒキハゼが多く掛かると直ぐにポイントを変更。徐々に水深を浅い所に移動して探っている感じだった。水深23m付近でも良型シロギスがヒット。25cm級も登場。潮が効き始めるとシロギスのアタリも出て来て良型があちらこちらで上がっていった。
【動画】長崎屋・神奈川県横浜本牧港・シロギス
テンビン仕掛けで狙ってみる
撮影していて気付いたカンドコロは、「全員が胴付き仕掛け」、下のハリは「適正にシロギスに対してアピールしている」、「テンビン仕掛けより誘いが効き易いが、ハリスが短いので喰わせる間を多く作る」と言う所。この状況で想像すると「誘いが効かない」、「吸い込みは良いがイトヒキハゼが多くなる」、「アタリが少ない」と言うパターンになるはず。
そこで、テンビン仕掛けでキャストして糸フケを取り細かく誘いを入れてみた。「フィーリングが悪い」。オモリが着底する感覚は伝わるものの、次のアクションでオモリを動かすと鈍い感触。二枚潮独特のフィーリング。オモリは底に着くものの後から付いて来るハリスは吹き流され、誘いの方向とは違う位置になっているのだろう。
すると“モゾモゾ”というアタリが伝わって来た。少し待ってみてもその後のアタリは無く回収すると、予想通りイトヒキハゼ。次に、着底後にラインを敢えて2、3m巻き、そこから誘いを入れる。オモリがコツコツという感触は全く無いが、仕掛けの位置を想像して誘い続けると再び“モゾモゾ”という感触。イトヒキと全く変わらないが、その感触が続く。巻き合わせてみると引きがどんどん強くなり、シロギスの引きに変化。「これか!」とパターンを読み切って連続ヒットさせる事が出来た。
この時期、ポイントや日並によって喰いの感触が変わる季節。喰いはあるが、吸い込みが弱いという感じが分かりやすいと思う。テンビン仕様だとキャスト回数は胴突きの3倍位になってしまった。ただ、潮が張ると仕掛けも適正に動き、差は少なくなるのも頭に入れておきたい。
今回は胴突き仕掛けでタナボケせず誘うが正解。胴突き仕掛け仕様で、待ちの時間や誘い方を勉強するには最適だ。ビギナーやカップルの方々も私よりもアタリの率は多かったのが印象的。
最後に水深18mでシロギスが連続でヒット。「今期初めて18m付近、浅い所やりましたが良かったですね。魚が動いていました」と船長。
海の状況も“春本番”になって来た。やはりシロギス釣りは面白い。引き味最高の良型主体東京湾のシロギス釣り。是非楽しんでみては如何だろう。