2022年05月24日公開
地元の釣り仲間から「大浜(大中漁港)でニシンがサビキ、ルアー、ウキ釣りでも爆釣している」という情報が入った。ニシンといえば、北海道を元気にした春を告げる魚だ。「あの金色に輝いた数の子が食べられる…」と、長万部(おしゃまんべ)に移住して15年、初めてニシン釣りに出掛けた。
ゴールデンウイーク(GW)前から漁港に群れ
太平洋に面する長万部にニシン…。当初は信じられなかった。日本海側に生息する魚だと思っていた。江戸時代から始まったニシン漁は小樽、石狩、積丹半島などの日本海側で明治時代から昭和初期にかけて巨額の富を生んだ。全国各地から一獲千金を夢見て人々が集まった。そして乱獲…、絶滅寸前にまでになったが、関係者の努力で最近、“群来”(海面が白子で白くなる)が現れるまでになった。
長万部の釣具店オーナーは、「昔から長万部沖にもニシンの群れは来ていたが、漁港に入るようになったのは、ここ数年かな。期間が短く、釣った人も余りいなかった。今年はGW前から入って来て、日によっては大釣りも。こんなの初めてですよ」と話す。
先着者3人、昨日はオバちゃん30匹…
午前10時前、大中漁港右端の駐車場に着いた。正面の岸壁が釣り場だ。ここは船が入らず、漁師さんの仕事の邪魔にはならない所だ。先着者がいた。地元のオバちゃんとおやじさんが2人の計3人。その間で釣ることにした。
4.5mの磯竿に小型スピニングリールをセット。ハゲ皮付きサビキ6本バリ7号の仕掛けを付けながら、オバちゃんに話を聞いた。
「今日は渋いよ。まだ10匹。バラシが多くて…。昨日は撒き餌しなくても30匹釣れたのよ。今のニシンは煮ても焼いても脂が乗っていて美味しいよ」と笑った。
コツは“カツオの一本釣り”の感じで
午前10時過ぎに仕掛けを投入。天気が良く、弱い海風が心地よい。しかし、だ。こちらも周りも30分位ウンともスンとも反応なし。しかし、その時は来た!ただし、オバちゃんに、だ。ニシンが海面を走る。銀色の魚体が見えた。渓流竿のオバちゃんは一気に引き抜いた。まるで“カツオの一本釣り”のようだった。そして、こちらにもやっとアタリが来た。ズシリと重い。上下、左右に走る。ところが、リールを巻いた瞬間外れた。逃げられた。ガックシ…。すぐに、また竿を上下に軽く振ると竿がしなった。オバちゃんをまねてリールを巻かずに一気に抜き上げた。一番下のハリに丸々と太った30cm級の“抱卵ニシン”がついていた。どうやら群れが回遊して来たようで、その後もアタリが続いた。11時半までに25~30cmを5匹。他に4、5匹をバラした。
正午のサイレンが鳴った。オバちゃんらも引き揚げた。こちらも“畑仕事”が残っていたので帰ることにした。バラシも多かったが、ニシンの引き、走りに十分満足した。なんとなくニシン釣りのコツを掴んだ気がした。
駐車場に戻ると車の横に1匹の野良猫。ミャーミャーとなついてきたので一番小さいのをお裾分け。それを咥えて走り去る野良の姿はかわいかった。
煮魚に…白子も美味だった
釣ったニシンは煮ることにした。ショウガをたっぷり入れて少し甘めに。数の子は1匹、残りは白子だった。意外にもその白子が美味かった。クリーミーで口の中でとろけた。次は天ぷらにでも…。ご馳走様でした。