2022年08月29日公開
夏の晴れた気持ちの良い朝には、どうしても川に入りたくなる。8月中旬、涼と魚を求めて北海道・十勝川の支流、音更(おとふけ)川へ。ニジマスの魚影が濃いことで知られた川だ。信頼できるスピナーを手に車を走らせた。
意外と難易度が高い?
音更川は十勝川水系の1級河川。音更山に源を発し、冬に姿を現す幻の橋、タウシュベツ川橋梁で有名な糠平湖を流れ、市街地で十勝川と合流する。釣りに行っておいて生意気なのだが、実は音更川は少々釣り難いと感じる。その要因の1つに低木が挙げられる。音更川の看板にも書かれているが、アイヌ語でオトプケは「毛髪が生ずる」。理由は、「川原に柳が密生しているため」という事らしい。実際に何度も訪れているが、毎回、低木に足と視界を阻まれている。低木が密生していると、まず川へエントリーすら出来ないし、視界が遮られると良いポイントも探せない。さらに恐怖のヒグマと遭遇する危険性も高まる。それから、流域全体的に流れが浅くフラットな印象がある。極端に言えば瀬がずっと続くような感じで、「いかにも」というトロ場はかなり見つけにくい。ポイントの見極めが非常に難しい。
上士幌町周辺の橋がお勧め
そんな音更川だが、少し藪をかき分けるだけでエントリー出来るポイントもある。私のお勧めは上士幌町周辺の橋だ。橋の下はコンクリート舗装されていることが多い。更に上士幌町くらいの上流域であれば、市街地よりは魚へのプレッシャーも低く、釣り人もさほど多くはない。そして山間部の源流部よりもヒグマの危険性も少ない。途中に水門があるのだが、それ以上川を下ると、一気に釣り人が増える印象。上士幌町が丁度いい位置なのだ。
最初にエントリーしたのは、帯広市から車で50分程の上士幌橋。『上士幌航空公園』の近くにある橋で、堤防に駐車スペースがある。やはりここも低木が多いが、少し前に工事がされていたためか、他の場所より石が多く、歩きやすい。装備は6ftのロッドに2000番のリール。1.5号のナイロンラインを巻き、わずかに石で流れが変わったポイントに狙いを定める。
いつも結果を出してくれる5gのシルバー系スピナーを投げると、水中に銀鱗がキラッと光り、ニジマスがHIT!なんとルアーが着水した瞬間に喰って来た。余程空腹だったのか、ルアーに腹が立ったのか…。続いて、フラットな流れの石裏にあるポケットでもHIT!かわいいサイズだが、1投目で喰ってくるという積極性のある魚だった。やはり流れがたるんだところに潜む。石のすぐ裏を通すというよりは、数m下った流れのたるみの尻を通した。思えば2匹とも石の障害物付近、表層で喰って来た。フラットな流れの中にある障害物に着目、着水の瞬間は全集中で行きたい。立ち上がりも意識しよう。
“尺上”が喰った!!
上士幌橋の釣りはほどほどにして、次はすぐ近くの西上橋というポイントへ。先程と同じく低木が目立つが、草をかき分ければ何とかエントリーできるレベル。ここはある程度流れが緩くなっている数少ない「ここぞ!」というポイント。早速、岸寄りのカケ上がりに魚がいるだろうと思い竿を出したが、中々反応がない。何とか釣果を出そうと水温を測ると17℃。中々高い。そこで、高温時には流心にいると雑誌で読んだことがあったため、対岸にキャスト。流心表層部を横切らせるようにキャストすること2、3回ほどだろうか、ゴツンと根がかりした様な感覚。ルアーロストだと悲壮感に陥っていると竿先に鈍い振動を感じ、魚だと確信!普段よりも引きが良いので、慎重にランディングすると大きなニジマス。メジャーを当てると約34cm。“尺上”が釣れるとは…。
音更川の大物は流心!
今回は流心で“尺上”ニジマスに出会えた。やはりセオリー通り高水温時には流心に身を潜めていた。秋冬は流心脇で釣れることが多いが、今回は見られなかった。夏の音更川で釣りをされる際は、ある程度水量のまとまったポイントを見つけ、流心を探るのがお勧め。季節が変わり、草木が枯れてきたらもっと色々なポイントにエントリー出来ると思うので、それを楽しみに待つのもありだ。