2022年09月09日公開
体高が高く、脂乗りの良いコロコロとした体型の通称“金アジ”は、東京湾のブランドフィッシュ。正直この夏はイマイチ元気が無かったものの、秋風に誘われて釣果はV字回復!「LT(ライトタックル)アジは裏切らない」その言い伝えは真実だった。
安心の人数限定、完全予約制
京浜急行・金沢八景駅から徒歩3、4分、「瀬戸神社前交差点」の近くに『弁天屋』はある。駐車場は店の並びにあって、瀬戸橋を渡ってすぐの電器店脇を入るとスタッフが案内してくれる。到着したらまず、目当ての釣り物の札を掲げた船の船縁に竿を挿して釣り座を確保。手指の消毒をして、カウンターで予約名を告げ乗船料を支払い、仕掛け等を購入、乗船札を受け取る。貸し竿だけでなく救命胴衣や長靴や雨具までレンタルがあるので、利用する場合はこのタイミングで確認を。階段を降りたところにライフジャケットを吊した休憩所があるので、ここで乗船名簿を記入。道具を船に積んだりウェアを着込むのはその後で充分だ。氷を受け取り、船に乗り込む。出船時間が近づくと、希望者への釣り方のレクチャーや、船長が釣り座を廻って乗船札の回収があり、出船準備は滞りなく完了。この日は、完全予約の人数が早々と揃い、定刻の午前7時30分より随分早く「第二弁天丸」は出船した。
航程15分、小柴沖からスタート!
いくつかの橋を潜り『八景島シーパラダイス』の「サーフコースター」を海から眺めつつ走ること10数分。船長から船釣りの安全に関する注意点や釣り方のコツ、マナーの案内がアナウンスされる。「なるほど、そうだよね」と妙に納得するマナー談義もあるので、中・上級者も耳を傾けてご自身の釣りを再確認頂きたい。
小柴沖、水深19mの釣り場に到着。「ハイ、お待たせしました。どうぞ、ちょっとやってみてください」の合図で釣り開始。船長の口ぶりだと「近場で試しに…」くらいの竿入れのようだったが、程なくして明確なアタリが竿先を叩いた。大いに竿を曲げて取り込まれたのは40cm級の通称“ギガアジ”。30cm超えを“尺アジ”と持て囃すアジ釣りにあって、船中1匹目から特大ホームラン。この後もタタキやアジフライに丁度良い中アジサイズを中心に、時折35cmを超える大型が交じるペースで取り込まれる“好釣”模様。各釣り座のバケツは着実に充たされていった。
船長に訊くLTアジのコツ
LTアジのコツについて、森本直樹船長に訊いた。「アジ釣りの基本は“タナ”だからさ、タナが巧く取れれば、釣れてる時は釣れるから。タナ取りをキチンとすればね、釣れる。一番は“タナ”だね」とのこと。魚が餌を捕食する水深(=タナ)は船長から都度、都度アナウンスがあるので聴き逃さないよう注意を。因みにこの日は海底から2、3mの間で釣り場や時間帯によって変化していたので参考まで。また、魚群探知機にアジの反応が出ているのにパタッと食いが止まる、アタリが遠退くタイミングがあった。こういった時の対応策を尋ねたところ「底を取り直してコマセを撒くとか、そういう動作が必要になる。アタリが無くなるとみんな竿置いちゃうじゃん。だから反応がある時は声掛けるようにしてる」と船長。釣れなくなった時ほど釣り人自ら動いて働きかけることが打開策になるので、手詰りの際には船長の言葉を思い出して頂きたい。
“半日アジ船”は入門に最適!
波の穏やかな浅場で釣りが楽しめ、万が一の船酔いでも沖に出ている時間の短い半日船の“LTアジ”は初めての釣りに最適。堤防や河川の釣りより安全かつ釣り座が明確に割り当てられていて、何より安定した釣果と全ての釣り具がレンタル出来るお手軽さは特筆。釣った魚を安心して食べられることもビギナーには欠かせない。しかも釣れる魚は東京湾のブランドフィッシュ「金アジ」だ。
『弁天屋』では、出船前にビギナー向けのレクチャーを行っているので、予約時と乗船時に講習希望の旨を申告することをお忘れ無く。釣り座も仕掛けも船長に選んで貰えば、一般的な釣り人より釣果に恵まれることもしばしば。しかも全て乗船料に含まれるのだから、これを利用しないテは無い。トイレの使い方や餌の付け方、魚の持ち帰り方、食べ方に到るまで、分からないことは遠慮無く船宿スタッフに尋ねるのが得策。船長が忙しそうな時は、恐らく隣席の“名人達”が親切丁寧教えてくれる筈だ。乗合船に於いてはビギナーであることは決して恥ずかしいことでは無いので、両隣の釣り師に挨拶兼々伝えて置くことをお薦めしたい。
【動画】弁天屋・神奈川県金沢八景・LTアジ
やっぱり、“LTアジ”は裏切らない!
小柴沖の20m以浅を攻略したこの日。実質3時間余りの釣りで竿頭はアジ46匹と大満足の釣果。「良いアジは釣れるんだけどさ、何か今ひとつだったんだ」とこの夏を振り返る船長。「どうしても回遊魚だからさ。秋になれば、ある程度の場所で釣れるようになって、このムラも無くなって来ると思うんだ。これからは安定してくると思う」と楽しみな展望。この読み通り、取材日から釣果情報が賑やかになってきた“LTアジ”。タックルを使い回せる半日船のタチウオやマゴチと組み合わせて一日楽しむも良し、午後は料理に腕を奮うも良し。ビギナーにはお手軽で、ベテランには奥の深いこの釣りを、秋の美味しい釣り物候補としてお薦めしたい。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他