2023年04月11日公開
石川さゆりの「天城越え」、川端康成の「伊豆の踊り子」でも有名な静岡県・天城山を源にする河津川。伊豆半島の釣りと言えば海の印象が強いが、今回私が向かったのは河津川上流部、支流の萩ノ入川との合流点付近。山深く多くの滝があり、爽やかな天城の風吹く温泉地でもある。ここは私にとって「とっておきの“アマゴの里”」である。観光地として有名だが、釣り場としては穴場と言ってもよいだろう。七つの滝のマイナスイオンを体一杯に浴び、美しいアマゴ達と遊ぶ一日が始まった。
キャンプ場前、萩ノ入川は朝一が狙い目!
“桜吹雪”の天城峠を越えて河津川を目指した。ループ橋を降り、温泉街を通り抜けると河津川と萩ノ入川との合流点に辿り着く。先ずは日釣券購入のために『河津七滝(ななだる)オートキャンプ場』を目指した。早朝。私たちに負けずキャンパー達の朝も早い。あちらこちらで焚き火の煙が上がっていた。
最近、気温は高くなっては来たが、流石に川遊びをするにはまだ寒く、川に人影はない。この時期の萩ノ入川はこれが肝。水遊びが出来るようになると、川は子供達の遊び場と化す。早朝、もしくはシーズンの早い時期がお勧めである。
キャンプ場から川への入渓は容易だ。水深は浅く、上流方向は10~15分程釣り歩いた所にある大きな堰堤まで。下流方向は河津川合流部まで釣り歩いていける。川底は白く、魚の姿が見え難い川である。しかし、1度ルアーを投じれば、活性の高いアマゴが岩陰から飛び出してくる。型は小さめだがとても美しいアマゴが生息しているのだ。
先ずは釣り上がって堰堤まで。1投目。早速ルアーに反応したアマゴがチェイス!しかし、まだ活性はそれほど上がり切っていない。1投目で釣りあげないと再びチェイスは来ない。少しずつポイントを変えてキャストしていくと、あちらこちらにアマゴの姿を確認することが出来た。今年はここ何年かで一番魚影が濃いように思えた。下流に向かった相方は「チェイスはあるが、どうやらニジマスが多いようだ」とのこと。
キャンプ場から10分程下った辺りで、相方にニジマスがHIT!「く~、またしても先を越された」。しかし、この日の私は間髪入れずにドローへと持ち込んだのだ。私に来たのは今シーズン初となるアマゴ。何度出逢ってもアマゴの朱点の美しさにうっとりしてしまう。
七つの滝にはアマゴたちが潜んでいた
萩ノ入川から河津川本流へ!釣り場は約1.5kmに点在する河津七滝。河津町観光のメインスポットだ。全長850mもの遊歩道が続き、道中、大きな吊り橋や「伊豆の踊り子像」が現れる。遊歩道を使い釣り上がっていくことが出来るのだが、時折息が上がるような階段が出現する。これがしんどい…。急勾配が続き、最上流の釜滝まで釣り上がる頃には足の疲労が…。
久しぶりに訪れた七滝は、相変わらずエメラルドグリーンの本当に美しい川だった。相方は「かに滝」から、私は「初景滝」からのスタート。遊歩道からは川の様子がよく見え、アマゴ達の姿もちらほら発見出来た。これは期待大!「初景滝」には「伊豆の踊り子像」があり、観光客の人気スポットになっている。
朝早いのでそれほど観光客の姿は見られなかったが、10時を回る頃には、沢山の人が行き来し始める。釣り人はほぼいないので注目の的になる。根掛かりなどするとちょっと恥ずかしい。しかし、釣り上げれば拍手が起こることもしばしば…。一躍ヒーローである。(笑)
暗い川底からアマゴが突き上げて来た!
今までの経験では、滝壺でアマゴに出会う確率が高い。ということで、マイナスイオンを真正面から浴びながら滝壺へキャスト!滝音や滝から吹く風を感じながらの釣りというのは格別である。滝壺は水流が強いので、重めのしっかり潜るミノーや重めのスプーンなどが向いている。
ミノーが白泡に差し掛かった瞬間、暗い川底からアマゴが突き上げて来た! しかし、アマゴくん、ミノーをバイトしようとするが空振り。「それにしても物凄い勢いで出て来たなあ~」。滝壺から現れるアマゴは大きさに関わらず迫力満点だ。滝壺から出る“渓魚”を見ると、いつも「釣りキチ三平」のイワナを追う一場面を思い出してしまう。
滝と滝の間には大岩が点在し、よいポイントが数多くある。思わず滝壺に目がいってしまうが、見逃さないでほしいポイントだ。大岩に向かってシンキングミノーをキャスト!すると早速チェイス!アマゴが朱点まで見えるほど足元までミノーを追って来た。「さあ、もう一丁!」。岩と岩の間を通すようにミノーを引いてくる。「キター!」。目にも止まらぬ素早さでミノーを一心不乱に追って来た。そしてヒット! 今シーズンは、最後の最後にミスしてしまうことが多いので、慎重にネットイン!「なんと美しいアマゴなんでしょう~」。ここで釣れるアマゴ達は本当に美しい。価値ある1匹である。
水質がよく透明度が高いので、ポイントにはそっとそっと近付かないと、アマゴに警戒されてしまうので要注意。遊歩道に上がり、相方がキャストしたミノーを目で追うと、岩陰から飛び出し、チェイスするアマゴの姿もハッキリ見える。この光景には大興奮!
マイナスイオンを浴びながらの“滝釣行”
七つの滝はどれも大迫力である。思わぬ所から飛び出すアマゴの姿にはハッと息を呑む。七つもの滝を釣り歩くというのもなかなかレアな釣り体験だと思う。河津川の中でも見落とされがちな穴場ポイントである。早朝の七滝は人影もなく、滝音が響き、霧煙る何とも幻想的な景色が広がっている。一見の価値あり!!マイナスイオンを存分に浴びながらの「滝釣行」。是非お試しあれ!
施設等情報
施設等関連情報
TEL=0558-34-0316
漁期3月1日~10月31日 日釣り券1,000円
*管轄河川
河津川・萩ノ入川・佐ケ野川・大鍋川・奥原川
「河津七滝観光協会」
河津七滝観光協会ホームページ
河津七滝アクセス
東名高速道路沼津インターから伊豆縦貫道を経由し約1時間20分