2023年06月29日公開
2023年は「夏至」から数えて11日目となる7月2日から「七夕」前日までの5日間は「半夏生」と呼ばれる雑節に当たる。この時季に食べると良いとされるのがタコ。タウリン豊富で疲労回復に繋がることから、夏バテ防止に役立つ先人の知恵にあやかるべくマダコを求めて千葉県・浦安『吉野屋』に出掛けた。
アクセス良好、電車釣行派にもお勧め!
船宿『吉野屋』は、地下鉄東西線・浦安駅から徒歩約650mと電車釣行も楽々。首都高速道路湾岸線・浦安出口からは凡そ15分。店前に着いたら、船宿スタッフに釣り物を伝えると、駐車場所を案内してくれる。車を降りたら座席札ボードから希望の釣り物の船の“席札”を取って釣り座を確保。店内のカウンターで貸し道具の申請や、仕掛けや氷を購入、乗船料と共に支払い。ここで乗船券と乗船カードが渡されるので、カードは記入して回収箱へ。乗船券は席札と一緒に船で回収されるので、分かり易いところに保管しておこう。乗船場所は店前の土手を越えた旧江戸川に浮かぶ桟橋。船縁に釣り物の看板が掲げてあるので間違えないよう乗船を。釣り具を船に運ぶのは出船30分前までに済ませたい。席札と乗船券の回収と共にタコテンヤの付け餌となるカニが配布された。「今日は走るよ」という船長の宣言の後、定刻の午前7時ちょっと前に「第2吉野屋丸」は出船した。
竿入れからノリ順調!
河岸払いから30分程で最初の釣り場に到着。羽田沖の水深10m前後。船長から「あまり根掛かりはしない」との案内があり、期待の竿入れ。乗船9人の内8人はタコエギのアングラーで、アンダーハンドで軽く投げて、広範囲を探る釣りを展開。すると間もなく、左舷ミヨシ(船首)から2番目・小林さんの竿が曲がった。取り込まれたのは頭のサイズがミカンほどのマダコ。「小さい」と苦笑いだったが、豚バラを巻いたエギに反応した。この日の傾向を紐解く大切な1杯。この後も流し変えを繰り返しながら、ミカンからリンゴ大へとサイズを上げつつ、ポツリポツリとマダコが取り込まれ、程なくして船中全員が釣果に恵まれた。その間、わずか90分程。この様子だと東京湾のマダコは今年の沸きも悪くはなさそうだ。
大型を求めポイント移動、そして…!
折り返しとなる午前10時のちょっと前。船長が「写真も充分撮れたでしょう」と、数狙いの釣りから型狙いの釣りへとシフトチェンジ。深場へと大きく移動して、釣りを再開した一流し目。左舷トモ2番の秋和さんに重量感あるヒット!大いに竿を曲げて獲り込まれたのは2.2kgの良型。船長の予告通りとなった大型の浮上に、船中の意気は高まった。この後も流し変え毎にマダコが取り込まれ、釣り座を問わずみなさんサイズアップに成功。笑顔の沖上がりとなった。
船長に訊くマダコ釣りのコツ
「第2吉野屋丸」の千田貴之船長に、今季のマダコについて訊いた。「型は今まで大きくて1kg位と小さかったんですけど、昨日辺りから大きいのが上がるようになって。昨日は0から6杯、7杯。今日はイイ日でした」と船長。ビギナーやスランプの釣り人へのアドバイスを尋ねると「エギは玩具ですから動かしてないと釣れないんで、じっとしてないでこまめに動かす。エギもテンヤも下引き摺っちゃうと引っ掛かるんで、ちょっと浮くぐらいで動かすように。エギの方はオモリの上に捨て糸を付けるとエギが助かる可能性が多くなりますね」との事。この“捨て糸”。画像をご覧頂くと分かる通り、長くする必要は無いので4号程度のチチワをスナップとオモリの間に入れることで、根掛かりの被害を最小限に留めるというもの。根掛かりとは切っても切り離せない釣り物だけに覚えて置きたい。
竿頭12杯、最大2.2kgと上々の釣果に!
かくして竿頭の森田さんは12杯、最大2.2kgと大満足の釣果を叩き出したこの日。「良い日の取材だった♪」とご機嫌で帰途についたが、翌日には3.1kgの大ダコが上がり、翌々日には竿頭13杯と更に釣果を伸ばした。
千田船長のお気に入りはシンプルに“タコぶつ”が一番とのことだったが、江戸前のタコは薫り高く滋味深い極上の味わい。釣らなきゃ口に出来ないその味覚と釣り味を、是非お楽しみ頂きたい。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他