2023年07月21日公開
7月初旬、北海道でも暑く感じる日が多くなって来た。日中は会話をかき消すほど元気なセミが鳴き、夜の街灯には蛾が集まる。釣りのハイシーズンを迎え、虫たちの活動もかなり活発になって来た。ということで、今回は最近頻繁に見かけるようになった“虫系ルアー”を使い、北海道・十勝川水系でニジマスを狙ってみることに。
初夏に効果抜群の虫系ルアーで…
入渓したのは、十勝川水系の中規模河川。川幅は最大でも30~40m程で流れは全体的に落ち着いている。高低差も比較的少なく地形的にも歩きやすい河川だ。この日は気温が30℃近くになり水温は21℃。流れは前日の雨の影響で若干の濁りはあるものの、ほぼクリアで条件は整っている。
昨年のこの時期だったと思う。釣具店で偶然見つけた“虫系ルアー”を使ったところ、魚の反応がほかのルアーと比べて圧倒的によかった。様々な虫がみられる初夏は、飛び損ねたり、弱ったりした虫が多く流されるため、魚たちも集中的に狙いをつけているのかも知れない。今回もこの時期にこそ効果的だと思われる“虫系ルアー”を使い、爆釣で夏の釣りをスタートさせたいと思ったのだ。
ロッドは6フィートでリールは2000番。時々40cmクラスのニジマスも飛び出すので、ラインはナイロン1.0号と太めにした。もちろん“虫系ルアー”も忘れずにバッグに詰め込んで車を走らせた。
水面から登場!一番人気はカメムシ!!
まず試したのは、よく自宅の網戸などに張り付いているカメムシを模したルアー。これをバブルライン(白泡の立っている流れ)に流し、ルアーを回収しようとすると、バブルラインの中心から少し外れたところで、20cm後半のニジマスが豪快に跳ねてヒットした!ルアーに食いついた後も水面を跳ねて、元気のよいファイトを楽しむことが出来た。開始早々から食いが活発だ。
色々なルアーを試したいと思い次にラインに結んだのは、昨年も確かな実績を残したセミを模したルアー。狙ったのは、流れが緩く、水面がベタナギのポイントだ。こうしたポイントなら、セミルアーの羽根が作る波紋が見やすく、効果的に魚にアピールできるはず。羽根を持つルアーにはこのような穏やかな水面がお薦めである。
流れの横には切り立った崖があり、その上には植物が生えている。いかにも虫が落ちてきそうな好ポイントだった。ナチュラルドリフトを意識しつつ、時々小さいアクションを入れていると、ブラウントラウトがヒットした!このブラウンも跳ねて食う瞬間を見ることが出来た。
暑い日には魚も陰を好むと聞いたことがある。最後は、少し上流にある木陰になっているポイントに、バッタを模したルアーを流すことにした。5分ほど粘ると、本当に木陰の真下という辺りで“フィッシュ”!釣り上げてみると小さいニジマスだった。木陰なら身を隠すことが出来、かつ、頭上の葉から落ちてくる虫も狙えるので、魚にとって好都合な位置なのだろう。
この後も、魚たちの虫系ルアーに対する反応は良く、ニジマスやウグイが数匹釣れた。そんな中で、この日の一番人気はカメムシを模したルアーだった。どの魚も何度も飛び跳ねながらのファイトで、ハイシーズンならではの爆発的な食欲と体力を見せてくれた。
“虫系ルアー”はアクションを‘’我慢‘’するのが肝
ルアーフィッシングといえば、「プラスチックや金属製のルアーを、巧みに動かして命を吹き込み、魚を誘う」というのが基本だと思うが、“虫系ルアー”はむしろ逆だった。今回使用した“虫系ルアー”は全てトップウォーター。基本的には1度キャストしたら流れに任せ、ナチュラルドリフトで狙う。その方が自然に近く、魚に不信感を抱かせないと考えたからだ。ルアーの動きをより自然に再現するためには重要なポイントだろう。実際にかなり反応は良かった。
セミなどの羽根付きのルアーの場合は、羽根が起こす水面の揺れや動きで魚を誘うことが出来るので、少しアクションを加えることもある。といってもあまり派手なものではなく、“2秒待つ→軽くトゥイッチ→2秒待つ→軽くトゥイッチ”など控えめにすることを心掛けた。
また、アワセをすぐ入れずに〝一呼吸〟待つことにもポイントがあるようだ。実際にライズを見てアワセを焦り、2度もバラしてしまうという手痛い経験をしたことがある。トップウォーターで喰ったことを認識できたとしてもすぐにアワセずに、一呼吸置いたほうがしっかりフッキングすることが多かった。目の前で水面炸裂したならば、反射的にアワセてしまうかもしれないが、兎に角〝一呼吸〟置くことを心掛けたい。
時間帯によって移動する魚たち
釣行当日は9時から18時くらいまで川辺にいたが、時間帯による魚の移動をハッキリと感じることが出来た。振り返ってみると、日差しの強い時間帯は日陰での反応が圧倒的に良く、ベイトフィッシュも日の当たらない場所に多く見られた。バス釣りのコツとしてよく目にする「日中は日陰を狙え」は、概ねトラウトにも当てはまる。ただ一方で、日差しの和らぐ16時から日没寸前になると魚が分散し、特に岸に寄る印象を受けた。実際に、中々お目にかかることが出来ない40cmオーバーのニジマスが、岸寄りの浅いポイントでヒットしたり、小さなヤマメが食ってくることもあった。周りを見渡すと、場所に関係なく(感覚的には岸寄りが多い)ライズしている。ちなみに、日中のライズに関してもやはり日陰が多く、夕マヅメに近づくにつれて分散し始める印象だ。
虫ルアーを使用した釣りは、季節や川によってもパターンや傾向が変わってくると思われる。今回感じたことを活かしつつ、様々なフィールドでトップウォーターの釣りを楽しんでいきたいと思う。