2023年08月06日公開
子供たちが夏休みになると、海岸はどこも海水浴で賑わうが、出来ればこんな季節でも誰もいないサーフで存分に投げ釣りを楽しみたいものだ。実はそんな投げ釣り天国のような隠れたサーフが北九州にある。今回は2ヵ所の天国で楽しんだシロギスの投げ釣りを紹介したい。
大物の実績がある“潜水艦の浜”で投げる
夜明け前、無人の釣具店に寄る。顔認証でオールナイト入店OK。“文明開化”の波に乗り遅れたくない古希ジイは、必死にレジを操作して餌を購入する。便利になったのか面倒臭くなったのか、分からないまま海へ向かう。この日は潜水艦の形をした岩場の浜である。
白々と夜が明けて海は穏やか、“上げ三分”のよい潮時である。竿は405-25、それに20号オモリをつなぐ。潜水艦の岩場から続く根の間を狙うので、扱いやすい仕様で臨む。ハリは「掛ける前リリース」を心掛けて、豆キスを避けてくれそうなマッコウクジラ型T-4のちょっと大きい8号。いつもより1本多い4本バリにして欲張ってみたけれど、後でよく考えてみると、その分手返しに手間取り結果は3本と同じだった。
果たして“大キス”はいるのか、ハリの先まで期待を詰め込んで投げる
5色ほどブン投げて根の間をたどると早速アタリ。ブルブルと小さく来たので大きくはない。寄せると2連で掛かっていた。また投げて糸フケをとるとすぐにアタリ。ゴンと来てまたゴンと来た。これは大きい2連だ。満ち潮に乗って魚も差して来たのか、3色前後でもアタリがある。もう汗ダラダラだ。干満の真ん中にさしかかってアタリが遠のく。一休み。冷やしたおしぼりで顔も頭もゴシゴシして生き返る。
シロギスの付き場を想像して投げる
ふと見ると小川が流れ込んでいる。数日来の雨で厚い層の真水が浜を撹拌して濁りが渦巻いている。
古希ジイ「ここだ、ここに放ると面白いかもしれない」。
小さくポトンと落として巻きにかかる。と、いきなりゴンゴンと竿先を弾く。寄せるとこの日一番のシロギスが上がって来た。でも後が続かない。また沖に投げ返したが“豆キス”ばかり。4本バリだからか2時間程で30gの餌が早くも尽きる。いい潮時だ、竿を仕舞おう。
次は千畳敷の海。この日のシロギスの付き場はどこだろうか?
千畳敷は景勝地で、沖に向かって洗濯板のような岩場が伸びている。ここにも岩場から続く根があって大物が潜んでいる。根は肉眼でも見えるが、あいにくこの日は沖からの風でさざ波が立ち見えにくい。ただし、今までの経験で、千畳敷の岩場と並行に根の切れ目が続いているのが分かっているので、おおよその見当を付けて投げることにする。
いつも通りに思いっきりブン投げて潮や海の底の様子を聞いてみる。仕掛けは前記の釣り場と同じだ。5色辺りは平坦な砂底でゆっくり探ってくる。するとキンキンと小さなアタリ。シロギスではない。寄せると小ダイ。これは厄介だ、寄せる途中でクルクル回転してハリスがねじれてしまう。投げるたびに掛かって悩まされる。
シロギスは砂紋にいた
小ダイのポイントをサッサッと通り過ごして3色辺りまで巻くとゴトンゴトンとオモリが砂紋を拾い始める。この日はここにシロギスがいた。小ダイが交じったりしながらも、時々大きいシロギスが掛かって楽しい釣りが続く。ただし、釣り場が根の間に限られるので、アタリが遠のいたからといって、群れを追ってすぐに移動というわけにはいかない。お茶を飲んだり汗を拭いたりして次の潮時を待つ。そしてまたいくらか掛ける。
強い陽が昇り、アタリも遠のいたので竿をたたむことにする。思いっきりブン投げて暑気を払うことが出来た古希ジイ、冷やしたおしぼりがなんとも気持ちよい夏のシロギス釣りだった。