2025年02月05日公開
南伊豆の豊かな海で楽しむスリリングな「イワシ泳がせ釣り」。狙うは、釣り味でも食味でもアングラーを魅了するマハタをはじめとした高級根魚たち。神子元島周辺の海域は、ハタやカサゴが数多く生息する“根魚の楽園”として知られ、ダイナミックな釣りが楽しめる絶好のフィールドだ。首都圏からのアクセスも向上し、より身近になったこの海域で、大物との熱いファイトに挑もう!
より身近になった南伊豆・手石港
『敬昇丸』が発着する手石港は、伊豆半島の南端に位置する。カーナビには「伊豆漁協南伊豆支所直売所」と入力すると、迷わずたどり着けるだろう。首都圏から訪れるアングラーにとっては片道4時間弱のプチ遠征となるが、伊豆縦貫自動車道が整備されたことにより、実際の走行距離の割に運転時間が短縮され、体感的にもぐっと近くなった。
乗船場所は、直売所脇のゲートを通り、一方通行の港を進んだ突き当たり。そこに停泊している『敬昇丸』の付近に駐車する。集合時間は午前6時。肥田船長の軽トラックが到着すると、氷の配布が行われ、乗船名簿の記入を済ませる。予約順に釣り座が割り振られ、荷物を積み込んで乗船。出船準備はスムーズに整い、『敬昇丸』は午前6時30分、大物への期待を乗せて出港した。
開始間もなくアタリが…!
穏やかな海を走ること約30分、神子元島を望むポイントに到着。エサとなる活きイワシを、一尾ずつ船尾のイケスから取りハリ掛けして第一投へと臨む。
水深60m、期待の第一投。ほどなくして竿を大きく曲げたのは、右舷トモの古屋さん。上がってきたのは、良型のウッカリカサゴ(カンコ)。その後もポツリポツリとキツネダイやアヤメカサゴが顔を見せるが、狙いのハタ類は何が気に入らないのか沈黙。上層や底付近にはベイトフィッシュの濃厚な反応があるものの、肝心な本命のハリ掛かりには至らず、忍耐の時間が続いた。
そんなタフな状況の中、陽が高くなってもコンスタントに魚を手にしていたのが、右舷ミヨシでスロージギングを展開する岩館さん。ショゴ(カンパチの若魚)やソーダガツオなどの青物に加え、キダイやアヤメカサゴといった底物も次々と取り込んだ。活きエサすら通用しない状況下において、ジグで広範囲を探り、反射で口を使わせる釣りが功を奏する様子を目の当たりにした。
船長に訊くマハタ五目のコツ
『敬昇丸』肥田能研(ひだ たかあき)船長にマハタ泳がせのコツを聞いた。
──この釣りのタナは基本どのくらいですか?
船長「基本は底から3~4mなんだけど、オレは縁起担いでラッキー7上げるからね。7mくらい全然喰ってくるからさ。アタリがないと(釣るタナを)下げちゃうじゃん。下げんの良くないんだ。お土産狙うのに下げるのは良いんだけどさ」
──今日、指示ダナが底から2~3mの釣り場があったのは?
船長「イヤゴハタやホウキハタがいたりする所だったから。あいつらが根のとこで喰わないかなと思ったからさ」
──ハリスの長さについて、今日もみなさん長い短いありますが・・・。
船長「ハリスは短いとダメ、基本が1.5m。短いとさ、ハタは喰いが悪いんだ」
──ずばり“釣るためのコツ”は?
船長「諦めずにタナを取り続けることだね。タナ取りが命だから。落として、こうキューッと巻いて来てピタっと停めて、またしばらくしたら落としてタナを取る。底がゴツゴツしてるから、タナを取り直してないと。そのイイ時にそのタイミングでやってないといけないから、それが難しいんだよね」
肥田船長は釣場毎にオススメのタナや水深の変化をアナウンスしてくれるので聴き逃さないよう心掛けたい。リールは手巻きと電動の釣り師がほぼ半々。深い時は水深120mまでやるとのことなので、迷われた際はご参考まで。
神子元島周りは根魚の宝庫、大物はまだ居る!
神子元島周りから石廊崎沖の60~99mを攻略した取材日。今回は潮が効かず釣果の谷間に当たってしまったが、各アングラーがそれぞれの魚種でお土産を確保して“足るを知る”釣果となった。
釣行後は、近隣の温泉で冷えた身体を癒やしてのんびり帰るプランもおすすめしたい。今季も『敬昇丸』では4.5kgの迫力あるマハタや良型のヒラメ、カンパチが続々と上がっている。大物との熱いファイト、そのロマンは、ぜひ皆さんご自身の釣りで叶えて頂きたい。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他