2023年01月09日公開
その昔、『清水次郎長一家』の代貸・大政も楽しんでいたとの逸話もある静岡県・清水港のチヌ釣り。今年の初釣り(元旦釣行)は、私のホームグランドでもあるその清水港へ出掛けた。1年を通してチヌが狙える抜群の魚影が魅力の清水港だが、流石に厳寒期のチヌは気難しい…果たして…。
海水温低下と透明度の高い潮。冬は“フカセ釣り”で狙う!
清水港では、昔ながらの和船(カセ=エンジンなし)での“かかり釣り”と、防波堤や岸壁などからの岸釣りが楽しめる。国際港である清水港には、岸立ち入り禁止場所も多いが、岸から釣りが出来るエリアも数カ所ある。釣りをする時には、場所の選定に十分気を付けて頂きたい。今回は「ドリームプラザ裏」と呼ばれるエリアで、岸壁から釣りをした。
1年中港内でチヌが狙える清水港とはいえ、厳寒期は難易度がグンと跳ね上がる。海水温の低下で食いが渋い。その上、潮の透明度も高く、警戒心がより強くなったチヌは一筋縄ではいかない。
終日全くアタリがない事も珍しくはない。そんな厳しい条件下、神経質になったチヌに対して有効なのがフカセ釣りだ。コマセの濁り効果と抵抗の少ない仕掛けは、食い渋ったチヌでも口を使わせやすい。清水港と言えば“カセ”からの“オカラ団子釣り”が有名だが、冬はフカセ釣りで狙う人も多い。
釣り場到着は午前9時半。コマセを作り終えてからゆっくりと仕掛けの準備。竿は魚とのやり取りを最大限に楽しむために0号のチヌ竿を選択した。
円錐ウキから棒ウキへ。ハリスの号数も落として…
釣り開始は10時頃。最初は00号の円錐ウキをウキ止めなしで使用する“沈め探り釣り”から始めるのが私のスタイルだ。約20m先にあるカケ上がりを狙ってコマセを打つ。カケ上がりの手前は水深約5m、沖にいくと約7mまで深くなる。10回ほど流しただろうか、餌盗りのアタリすらなく仕掛けを変更する。
この日は風がなく水面も穏やか。そこで、どっしりと構えられる棒ウキ仕掛けを使ってみることに。直近の釣果も棒ウキ仕掛けが多く、仕掛けの安定が鍵になりそうだ。同時にハリスを1.5号から1.2号に落とし、できる限りチヌに与える違和感を減らす。やり取りのリスクは上がるがやむを得ない。
この日初めての反応は正午を過ぎた頃だった。沖に浮かぶ棒ウキが勢いよく海中へと吸い込まれた。ワンテンポ待ってから合わせを入れると竿が大きく弧を描いた。予想以上にパワフルな魚で、近くの台船の下へと突っ込もうとする。1.2号のハリスでヒヤヒヤしたが、どうにか台船の下から出てくれて一安心。姿を見せたのは紛れもなく“本命”のチヌだった。無事にタモへ収まった。初釣りで幸先よくチヌをキャッチ出来て大満足。サイズは40cm程だが嬉しさは格別だ。
その後、すぐに追加の1匹へと意識を切り替え、足止めのコマセを撒く。周囲に仲間のチヌがいればすぐに反応がありそうだが…。残念ながら期待とは裏腹にその後はアタリがなく、コマセが切れたタイミングで納竿とした。
貴重な1匹を手にした初釣りの“チヌ・フカセ”
今回の釣行は、まさに厳寒期らしい釣りとなった。ハリスの号数を下げた途端に喰って来た事から、海中の透明度が口を使わない大きな要因になっていると推測出来る。仕掛けの細かな部分で変化が出る、これもまた“寒チヌ”の魅力ではないだろうか。
釣ったチヌは丸々とした体型で美味しそうだ。チヌに感謝しつつ、美味しく頂く事にした。1月から2月にかけて釣れるチヌは驚くほど脂が乗り、捌くと包丁に脂がべっとりと付くほど。元旦から美味しいチヌを食べて、まさに“おめでタイ”気分に浸った。