時折りサケが見える沖の浅場と思しき黒い馬の背の反対側に15gのテッペンスプーンをキャスト。魚が浮いてきた印象があったので、それまで投げていた18gからウエイトを軽くしたのだ。これが正解だったようだ。着水後、なるべく流れの中で泳ぎ続けるようにゆっくりとリトリーブ。すると馬の背を超える前にアタリ。ガツンという感触のあと、すぐに頭を振るファイト。「ヒット! きたよ!!」とコールするも若林と森安には聞こえなかったようだ。サケの口の堅さを考慮して、ロッドを立てて追い合わせを入れる。おおぉ、いい脈動、いい手応えだ。水面が弾けジュボジュボッと飛沫が上がる。このファイトに気づいて、ネットを持ったふたりが駆けつける。「おぉ、やっぱりファイト中かよ」と森安。「一気に寄せちゃいましょう」と若林がネットを構える。 無駄に走らせたり、ターンさせると先ほどの若林の魚のようにバラシの可能性が高まってしまう。主導権がこちらにあるうちに、一気に寄せるのが正解だろう。仲間を信頼してネットへ――。無事、キャッチ! ネットに収まったのはメスの66cm。12年振りの村上。12年振りのサケだ。 今回の3人釣行でのサケの釣果はこの1匹のみ。しかし、12年振りのエピソードとしては十分。次は12年後……とは言わず、ぜひ来年も村上のサケ釣りを楽しみたい。だって、今回、家に残されたままの森安のルアーもあるしね。